組織の生き残りのためには、全員が自分の役割を見つける必要がある

おそらく40才台以上のサラリーマンの方々の多くは、自分が部下として接した上司のリーダーシップスタイルが「君臨型」だったことでしょう。君臨型の上司は、部下に仕事を「与え」、やり方を「指示」し、進捗の「報告を受ける」という固定的上下関係で、そこには「職務に基づく外圧的な上司・部下の関係」や、「上司から部下に対する一方向的な(モノローグ的な)意思伝達」などの特徴がありました。

いま、この時点で上記のようなリーダーシップスタイルのあり方を読むと眉をひそめたくなるのではないでしょうか。そのようなリーダーシップスタイルがまかり通り、そして一定の成果を収めていたのは、仕事の進め方が固定的・前例踏襲的・世襲的なものであったからです。仕事とは先輩のやり方を学び、真似ることであり、先輩と同じことができれば評価され、昇給するに値しました。それは仕事がシンプルで、改善はあっても例えば向こう10年以上はビジネスモデルが変わらないと従業員全員が信じていた時代だから通用した話です。

しかし先のことは誰もわからないこの時代を組織が乗り切り、生き抜いていくためには、文字どおり「全員」が自分の役割を見つけ協力し合う必要があります。組織の成長と成功に、経営者や管理職だけが責任を負う時代は終わりました。雇用される従業員も経営者任せ・上司任せで漫然と働くことはできません。

経営者だけが頑張ればなんとかなる時代は終わった

上述のとおり、かつての組織には成功や目標達成の責任は主に経営者や管理職が担うものという共通認識がありました。しかし、現在は個人や小集団の力だけでは力不足です。
競争の激化・ビジネス環境の複雑化に対して組織全体が協力し、変化に適応する必要があります。集合知や集団の力なしには勝ち抜くチャンスはほぼ無くなったと言えます。

全従業員の力を合わせなければ組織として存続できない

もっとも大切なことは、従業員がその職位や職務、雇用形態にかかわりなく、自分が所属する組織の命運を、少なくとも自分がその一部を握っているのだという実感を持てるようにすることです。
全従業員が「自分だけの役割」、「自分だからこそ組織に貢献できること」を理解し、その役割を果たそうと自律的に行動できるようになることにより、組織は一つのチームのように機能し始めます。その環境が整って初めて、全員が共通の目標に向かって進もうとする力が生まれます。

管理職に必要なのは謙虚さと「人格を認め合うこと」

上述のような組織づくりにおいて管理職やリーダーに求められるものは何でしょうか?
そのもっとも大きな要素のひとつが、従来の君臨型・指示型のマネジメントから対話型のリーダーシップへの転換です。管理職およびリーダーが、謙虚さと相互依存の精神を行動として示すことにより、管理職は部下や他のメンバーと真の対話が行えるようになります。

「真の対話」とは、別の表現をすると表面的な対話ではないということであり、つまり「職位の関係に基づく業務のための対話」ではなく、「お互いの人格を認め合う信頼関係に基づく業務のための対話」のことです。まずは管理職やリーダーが変わることによって自己開示と共感力を活用し、部下や他のメンバーから真実を語ってもらえるように努めましょう。

特徴と強みを活かす

組織内のすべてのメンバーのパーソナリティや“強み”は当然ですが全員異なります。管理職やリーダーは、それぞれのメンバーに合わせてアプローチするだけでなく、自分自身がどのようなパーソナリティや“強み”を持っているかを把握し、その取り扱い方を学ぶ必要があります。

管理職やリーダーは、部下のニーズや発達段階に応じて指導・サポートすることが求められますが、その複雑かつダイナミックな接し方を成功に導くためには、何よりも自分が“強み”を発揮できるパターンを知らなければなりません。もちろん“弱み”を暴走させることは最悪ですので、自分の失敗パターンも認識しておかなければなりません。

メンバーの自己認識も重要です。各メンバーは自分自身の特徴や強みを知り、それを活用する機会が得られることで初めて組織に貢献する意識や意欲が生まれます。当然自分が得意とする分野で貢献しようとすることにより、組織全体としてもより大きな成果が得られます。


組織の生き残りと成功は、もはや組織全体の責任です。雇用される立場・指示を受ける立場だからと言って「組織の視点」を持たずにいることはできない時代となりました。

組織内の全てのメンバーが自分の役割を理解し、貢献できるようになるためには、管理職やリーダーが謙虚さ・相互依存・正しい自己認識・職位を超えた人格の尊重・自他のパーソナリティや“強み”に合わせたアプローチなどを使いこなせるようになることが必要です。管理職やリーダーはそれらを活用して「導く」のではなく、メンバーが自律的・積極的に業務に取り組みたくなるよう「動機付ける・促す」ことを目指さなければなりません。

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