「意思決定できない」才能がある?

多くの場合「何かを選ぶことは、それ以外の選択肢を捨てること」 です。だからこそ、人生の転機のような重大な選択の時は特に悩んでしまいます。そして、そのようなときにコーチを頼ってくださる方もいらっしゃいます。

しかし、いくら対話を重ねても、多角的に複数のワークを行っても最後の最後、やはり意思決定ができないというクライアントがいらっしゃいます。一つひとつのコーチからの問いには明確に答えることができるし、ワークにも前向きに取り組み結果に納得できているにもかかわらず、です。

もちろん重要なことであればあるほど意思決定は難しいものとなるわけですが、このような方は「意思が弱い」のでしょうか?普通の人よりも意思決定に時間を要する理由はどこにあるのでしょうか?…

もしかしたらそれは才能が意思決定を妨げているのかもしれません。

才能 = クセ

ストレングスファインダー®︎における「才能」とは、「人が無意識に行ってしまう思考や感情、行動」を指します。上位資質とはその人にもっとも現れやすい才能(の集まり)であり、つまりその人のクセです。クセは良い結果を生み続ける時もあれば、悪い結果につながり自分の足を引っ張り続けることもあります。

才能、つまりクセは無意識の産物であるからこそ、悪い結果につながっていても本人にはその理由に気付きにくいものであるわけです。

「意思決定に必要」な才能がある?

その才能やクセが意思決定を妨げていたのではないかと考えられるケースがいくつかありました。

これはあくまでも私が経験した話ですが、才能が意思決定にネガティブな影響を与えるときの方向性は大きく3つに分けられるようです。それらは

  • 「本当にこの決定が正しいのか不安で仕方がない」気持ちを強めている
  • 「あれもこれもと目移りしてしまう」ことを後押ししている
  • 「自分の考えや気持ちを結びつけて捉える」ことに役立ちそうな才能が上位にない

というものです。

「決定することが不安」につながりやすい才能

重要な意思決定をすること、複数の選択肢の中からたった一つに絞り込むことができないという場合は、<慎重さ>が不安を助長しているかもしれません。<慎重さ>は物事には常にリスクがつきまとうと考える才能の集まりです。この資質の影響が強く本人がそのことを自覚できていない場合には、重要な決定であればあるほど「うまくいかない理由」を探してしまうことがあるようです。

「あれもこれもと目移りしてしまう」につながりやすい才能

次から次へとアイデアが浮かび、一つの選択について熟考することができない場合に影響を与えているかもしれない資質が<着想>、<収集心>です。<着想>はアイデアが次々と湧いてくる才能の集まりで、<収集心>は関心があるものを集めることが大好きな才能の集まりです。この資質を上位に持つ人は、意思決定することや目的を達成することよりも、アイデアを創りそれらをストックし続けることに強い関心を持ってしまう可能性があります。

「自分の考えや気持ちを結びつけて捉える」ことに有効な才能

一つひとつの要素をつなぎ合わせて論理的・構造的に考えたり、そこから複数の選択肢を考案した上で合理的な判断をすることが得意な才能の集まりが<戦略性>です。また、持っている材料を状況に合わせて柔軟に最適に組み合わせることが得意な才能の集まりが<アレンジ>です。これらの資質がかなり下位の方にある場合、自分が考えていることや価値観の断片を基にして、自分の方向性を導き出すことが苦手である場合があるようです。

ストレングスコーチングによる対処

ストレングスコーチングは「才能という、もともとできることをさらに強化することを通じて効率的に目標を実現する」、「自分の才能のポジティブな面に着目して、活用方法を工夫する」ことを原則としています。「(あってほしい)才能が無いからできない」と諦めてしまうことはありませんし、「下位の才能を鍛えて順位を上げる」という発想もしません。

今回のケースのように、上位資質が邪魔をしているような場合は

  1. 他の上位資質の力を借りる
  2. 問題になっている資質の活用方法を意識的に変えてみる

などの対策に、クライアントとコーチが話し合って取り組みます。

そして、特定の資質が上位に無いことを気にすることもありません。その事実を受け止めた上で、自分の上位資質を活用してできることを考え、実践していきます。

「意思が弱い」と「意思決定できない」の違いを見極めよう

上記のように意思決定できない原因が自分の才能にある場合、それは「意思が弱い」という表現にはつながらないことがお分かりいただけたと思います。また、そもそも人間は意思力だけで自分をコントロールすることは困難だという考え方が浸透しつつあります。


意思決定ができないことは「能力の限界」とは限らず、「自分の特徴」かもしれないことをおわかりいただけたと思います。お困りの場合には自助努力だけに頼り続けるのではなく、まずはお気軽にお問い合わせ・ご相談よりご相談ください。。