「組織」における矛盾は(絶対に)なくならない

従業員が「やる気がない」、「自律的に動かない」などと悩む経営者は多いでしょう(ほぼ全ての経営者かもしれません)。そして「仕事にやりがいを感じない」、「そもそも会社に行きたくない」と感じている従業員も多いでしょう(こちらも世界的に高い割合であるようです)。

時代・国・文化・規模が異なるのに、なぜこのように一様に「仕事」は問題を抱え続けるのでしょうか?その理由の一つが「組織」にあります。

なぜ人は組織をつくる?

人は社会的動物です。集団を作ることで生き残り、発展し続けてきました。その理由はいくつか挙げられますが、突き詰めれば「一人でできることには限界があるから」そして「人には得手不得手があるから」ということになります。

会社、つまり組織がつくられるのも理由は同じです。ひとりで経営・会計管理・営業・マーケティング・商品開発製造・保守など全てを行うことは困難です。また、好きで得意な業務に特化する方が生産性も向上するでしょうし自主的な能力開発に対する動機付けも容易でしょう。

だから我々は、より効率的に・より大きなことをなそうとするために群れ、組織をつくります。

組織は矛盾を内包し続ける

メンバーに得手不得手があり、そしてメンバーの役割がそれぞれ異なるからこそ組織は成り立ちます。役割が違うということは、同じ組織内でも責任が異なるということになります。そして往々にしてこの「責任の違い」が対立を生み出します。わかりやすい例としては
・納期を短くしたい営業部門と、納期を長くして品質を担保したい製造部門
・従業員を増やして生産能力を上げたい製造開発部門と、固定費リスクを避けたい人事部門
などが挙げられます。

このように、違いがあるからこそ組織をつくる意味があり、一方で違いは必ず対立を生み出します。つまり組織とはそれ自体に矛盾を内包する存在なのです。
組織の管理に携わる人は、絶対に解決しないこの矛盾を頭に入れておかなければなりません。「解決できない」とわかっていれば、もしかしたら却って気が楽になるという方もいらっしゃるかもしれませんね。