自己理解だけでは結局何も変わらない

自己理解は大切です。自己理解を深められなければ、自分が自分自身の主であるという感覚を持つことは困難です。自己理解が浅い、もしくはそもそも意識していない方は「やりたいこと」や「やりがいが持てること」を見つけられずにいることが多いように感じます。

そして今、自己理解が流行っています。テレワーク常態化など働き方に大きな変化が起きていることや、社会レベルで職業的価値観の変化が進んでいることに伴い、自分自身に目を向ける時間や機会が増えているせいでしょう。

自己理解プログラムに参加したり自己理解本を読んだ方の感想を聞いてみると「楽しかった、ワクワクした」や「腹に落ちた」など肯定的な答えがほとんどです。しかし、それだけで実際に行動が変わったという事例を少なくとも私の周りでは知りません。それどころか「自己理解メソッドをいくつかやってみたけれど、結局何も変わらないので何とかしたい」というお悩みでカウンセリングやコーチングをご希望なさるクライアントが少なくありません。

これは、自己理解メソッドを提供している側も、取り組む側も、自己理解自体が目的化していることに加え、自己理解を「ほぼ一度きりのもの」と捉えてしまっていることによる弊害だと私は考えています。

誰でも手軽に自己理解できる時代に

この記事を読んでくださっている方であれば、一度ならず自己理解のワークに取り組んだり、自己理解本を読んだ経験をお持ちなのではないでしょうか。

自己理解のセミナーやワークショップについて検索すると、オンライン開催のものを中心に毎日のように開催されていますし、特に自己理解をメソッド化したハウツー本は大人気です。高くても2,000円程度の出費で、本の指示どおりに自分の好きなことや成功体験を書き記していけば、自動的に「やりがい」や「適職」が見つけられるようになっており、とてもコスパの良いツールだと言えます。

自己理解に取り組んでも何も変わらない

なぜ自己理解に取り組むのでしょうか?その理由を言葉にすると「苦しさから抜け出したい」、「やりがいを感じられることに取り組みたい」という方が多いようです。つまり「前向きな変化」を求めるから、ということになります。

しかし、私が知る限りその願いはあまりかなっていないようです。自己理解メソッドを終えて「自分がやりがいを感じること」や「自分のやりたいこと」が目の前に書き出されているにもかかわらず、です。それはなぜでしょうか?

その理由は大きく2つあると考えます。ひとつは「自己理解で終わり、具体的な変化を起こそうとしていない」こと、もうひとつは「環境を考慮に入れず自分中心にしか考えていない」ことです。

行動につながらない自己理解は意味がない

「自己理解で終わり、具体的な変化を起こそうとしていない」というのは、別の表現をすると「自己理解が目的化してしまっており、そこに到達した時点で活動を止めてしまっている」ということです。

自己理解は文字どおり「理解」であり、自分自身に対する認知です。行動することと異なり、自分の脳内でのチャレンジするだけの活動ですので、そこにはリスクがありません。だから比較的容易に取り組むことができるわけです。

しかし認知は変わりやすいものです。本を読んだだけで前向きになれる一方、そのまま何もしないと数日で元の不安が蘇ってしまいます。

自己理解の深まり、つまり前向きな認知の変化を定着させるためには、何よりも「行動」が必要です。行動するということは現実世界におけるチャレンジであり、失敗するリスクがあります。しかしそれを承知でトライし、成果を挙げられるようになるまで習熟して初めて、その認知の変化が「事実」として定着するようになります。「100%安全な世界に踏みとどまったままでは自分は変えられない」ー これはストレングスファインダー®︎において“強み”を育てるための「才能への投資」の考え方と同じです。

本気で自分を変えたいのであれば、自己理解は必要なステップです。しかし自己理解は行動するための手段に過ぎない、始まりに過ぎないということを忘れないでいただきたいです。

自己理解に終わりはない

「環境を考慮に入れず自分中心にしか考えていない」というのは、別の表現をすると「自分を取り巻く環境の変化が自己理解に影響することを考慮していない」ということです。

認知は環境から多大な影響を受けます。そして我々は完全に自由な存在ではなく、自分が存在する社会や文化、つまり環境から常に影響を受け続けています。自分が何を幸せと感じるか?何を成し遂げれば満足できるか? など、自分が設定する目的や目標は、必ず社会的価値基準や周囲との相対的な比較によって決定しているのです。

そして環境は必ず変化します。冒頭で触れた働き方や社会的価値観の変化のようなマクロレベルの変化も、結婚や加齢など個人に生じるミクロレベルの変化も、避けることはできません。誰も「そのまま」でいることはできないのです。

自己理解も同じです。心の底から納得できる自己理解が得られたとしても、環境の変化に伴いその有効性が薄れていきます。自己理解は定期的に、もしくは人生の転機において見直すようにしましょう。

ストレングスファインダー®︎とストレングスコーチング、そして自己理解

ストレングスファインダー®︎もそれ自体は自己理解ツールのひとつです。ですので他のツールと同様、受験しただけで必ず行動が変わるわけではありません。

ストレングスファインダー®︎で「“強み”の自己理解」を深め、それを基にするストレングスコーチングによって具体的な行動につなげていく ー これがストレングスファインダー®︎の効果的な活用方法です。我々Gallup®︎社認定ストレングスコーチがそのお手伝いをいたします。